「仕事というのは、困難なことに挑戦し自己実現や自己成長を感じることや、能力に応じた裁量と責任を得ることで、よりダイナミックな仕事が出来、エキサイティング性を感じることが一番の魅力なのです。」
三原 邦彦さん
(株式会社ビースタイル 代表取締役 )
今回は、「ビースタイル」代表取締役三原邦彦さんにお話を伺った。三原さんは、インテリジェンスでの経験を踏まえ、2年半前専業主婦に特化した派遣会社「ビースタイル」を起業した。本インタビューでは、三原さんが描く「女性の働き方、キャリアアップ」を中心に尋ねてみました。
<ビースタイルとは?>
通常、既婚者の方は、家事と仕事を両立させなければならない環境にあります。この辺は学業の両立をする学生と似ており、既婚者の多くは、時間制限を考慮しながら働ける、販売・軽作業等を活用する業界でパート等をしています。 しかしながら時代の変化もあり、高学歴で、かつ総合職での経験者の女性が増えてきました。販売や軽作業の仕事が悪いというわけではないのですが、もともと経験をしていたオフィスワークで仕事を継続していきたいというニーズが高まっており、結婚後で働ける職場と既婚者の働きたいと思う職場にギャップが出来てしまっているのが現状です。私たちは、このような人材をオフィスワークで活用する事を考え、企業側には、既婚者の優秀な派遣スタッフとフルタイムではなくパートでも同じ能力を発揮できる方法を御提案しており、私どものサービスを併用活用するとクオリティを変えずに派遣コストを30%程度削減することが可能です。人材提供だけでなく企業のコスト削減にも寄与することが出来ます。そして既婚者には、結婚後も家事も仕事も両立できる仕事の提供と働き方を御提案しています。
現在の女性には大きく分けて2通りの働き方があると思います。
1つ目は「結婚して、家庭に入りつつ暇な時間で仕事をする。」 2つ目は「仕事の第1戦で働くことを選んだために結婚もしていない。」という働き方です。 私は、その中間にあたる「結婚もするが、家庭には入らずに結婚(育児)後社会の第1線で働きたい」のですが、実際に働く女性の働き方のパターンはどのように分けられると思われますか?
まずお話しする前提としてご認識いただきたいのが、日本の女性の年齢別に就業比率を調査すると、 この図 (図が別ウィンドウで開きます)のようなM字曲線になっています。
出産ピークは33歳。大半の企業が、出産前の若い女性の雇用体制は整っていますが,出産後の既婚者の雇用体制には不備が多いことから、子供ができても、すぐに職場への復帰は難しいのが現状です。企業によって復帰比率は異なりますが、育児休暇を取っても平均1割しか会社に戻っていないのです。しかしながら全くこのまま職場復帰しないわけではありません。子供が大きくなるにつれて、45歳には約70%の既婚者が復帰しています。 しかしながら、大半の方が販売職や軽作業の仕事でパートとして復帰しているのです。パートの事務職の求人は全体の3%しかないのも原因でしょうね。結論としてはM字型カーブになっているということは社会復帰実現します、しかしながら大半の女性は若い世代で培ったキャリアを活かせていませんね。
どれが一番正しい女性のキャリアなのかを非常に悩みます。社会復帰という観点からすると、私たちは育児休暇や出産後の体力低下があると思っているのですが、三原さんはこれ以外に何があると思われますか?
女性のキャリア設計が難しいのは、その時々で環境の変化や自分のテーマになることが変わるからだと思います。結婚前の20代前半は、男性と同じように仕事のスキル・キャリア開発等を行うことの出来る職場や働き方選択するのですが、20代後半になるにつれ、結婚や育児等を考えた職場や働き方を考えなければならない。 女性にとって安心して働ける会社とは、結婚しなくても男性と同じキャリアを目指す働き方が出来たり、結婚して子供ができた場合、育児との両立が出来る働き方が出来たりと、どんな状況下になっても働ける選択肢の多い会社でしょうね。
ここで、いくつかのキャリアのパターンを示しておきましょう。 女性のキャリアが一番左右されるのは、「年齢」「結婚」。それから旦那さんの収入にも左右されます。結婚前のキャリアは特別難しくないので、ここでは結婚後のキャリアについて説明しましょう、大きく分けて4つあります。
1.バリバリキャリア | 2.スローキャリア | 3.パート | 4.専業主婦
旦那さんの平均年収が700万以下だと奥さんが仕事を必然的にしなくてはならないケースが多い、よって家庭内収入の安定させるために1〜2のキャリアを踏む。旦那さんの収入が多くバリバリなキャリアが取れるぐらい能力開発を行っておくと、すべての選択肢が可能です。よって結婚前にどれだけ能力を開発しているのかが重要なんです。 年収の高い男性を選ぶのも、人生の選択肢を増やしたい潜在化した理由もあるでしょう。
あと考慮するのは、職場選びです。職場によって可能な働き方が異なるので、男性と同じような単一的なキャリアのルートが描けません。職場選びによって、女性の働き方が大きく変わるということは、職種よりも職場選びに重点を置かなければならないですよね. しかし、現在と将来の変化する働き方の両条件を満たす会社を探すことは難しいので、状況にあわせて転職するしかないのが、女性がキャリアを作る難しさにもつながります。「全ての働き方が実現します」等と転職雑誌や会社案内にはなかなか掲載されていないでしょ、入社して働いてみて初めて気付くことが多いのです。 結論ですが、もし結婚をしなくても経済的自立(1人でも食べて生きていける)キャリアの下地を20代前半で作ってしまいます。結婚は縁ですから、将来のことについて考える事自体無意味なので、状況に合わせていろいろな働き方が出来るように、しっかりと能力開発をしておきましょうということです。
キャリアを積むのは結婚前にするものと考えてよいでしょうか?
先程の答えと重なりますが、一番時間と心と体を投資できるのは結婚前だと思います.そこで下地をしっかり築かなければ30代・40代でキャリアを築くのは難しいです.つまり,ビジネスマンとしての地盤を築くのは20代がベストですね。 当然、年齢に関らず仕事をしている間は、常に自己成長を忘れてはいけません。
会社に入ってから心がけるべきことは何ですか?
結婚前にビジネスマンとしての基礎的な能力をしっかりと身に付けるべきです。 資格や知識を活かした経験よりも、思考力・行動力を鍛えることができる経験が大事。 専門的な知識があってもその基盤となる基本的な能力がないと活かせませんから。20代にプロとしての価値観を身につけた人のほうが30代後半40代になってから活躍している人が多いです。専門的な知識は後から勉強できますし、知識というのは常に更新することが可能です。反面、陳腐化も早い、10年後に今の知識が活用できる保証はないですよ。 つまり、陳腐化せず長期にわたって活かせる汎用的な能力、例えば、コミュニケーション力や交渉力、調整能力等。また,職業としてあまり汎用性が無いものを選ばないほうがいいです。例えば、飛行機のパイロットになっても,転職するときの汎用性は低いですよね。外資系は別として国内の転職先はJALとANAしかありません、怖いですな。
三原さんは先日「ヒヨコが始めて見た鳥を親鳥と思うように、初めて入る会社の色に良くも悪くも染まる」と書かれていましたが、これから就職活動をする女学生がキャリアアップを中心に考えた場合に企業を選ぶポイントは何だと思われますか?
女性はキャリアを3年タームで考える必要があると思います.あまりに結婚・出産のことを考えすぎても企業を選べない。つまり新卒で選ぶ会社は、男性・女性も同じ視点で決めていいと思います。 さて具体的にどのような会社が良いかといえば、「機会とフィードバックが多い会社」だと思います。人間の能力にはあまり差が無いと思っているので、会社に入って一番成長することができるのは、1つは多くの機会が取れること、2つめは、失敗・成功(特に失敗)を見つめなさいと周りから言われる機会が多いこと。例えば、ミスは指摘されたときに自分自身を客観的に見つめなおさない限り治らない。イチローを例にだすと分かりやすい。 イチローでさえも4割しかヒットが打てません。しかしながら4割のヒットは、10打席立つことと、6割のアウトから生まれているということ。6割のアウトから「何がいけなかったか」を考える。ヒットが出た時も「何で打てたのか」と考える姿勢が必要なのです。そのような学習のサイクルを20代前半に作っておくことも長期にわたって活躍する上で大事だと思われます。
福利厚生では、大手企業の方が社会保障制度は整っていますが、部署毎に仕事内容が固まる傾向があります。ビジネスは、時代や戦略に基づいて仕事の内容が変化するので、様々な仕事に対応できる能力を身につける上においては、大手企業はデメリットも多い。 一般的にベンチャー企業にいた女性は仕事ができる方が多いです。その他にもテレビ局のディレクターさんなども、色々なことを自立的に考え行動をすることを必要とされる為、能力が長けていることがあります。出来る仕事を反復するのみの職場は、20代では避けた方がいいと思います。 例えるとバッティングセンターで常にカーブが投げられればそのうち打てるようになりますが、試合ではカーブを投げますよーとピッチャーが伝えることはありません。 常に投げられた球を見極めて、ヒットを打つことをしなくてはいけない。 大事なのは試合で活躍できる能力を身につけることなのです。 しかしながら「量の向上無くして、質の向上なし」という言葉もある通り、当然反復することで能力は開発されます。
大事なのは、目の前のことから逃げずに1つ出来たら次の機会と行動をとることです。 出来ることばかり繰り返し行っていると,失敗をしなくなってしまうので学習しない。 しかしながら、会社は学校ではないので、社員の学習のみにお金を払うことはありません。よって会社に一番貢献できる出来る仕事はもちろんしなくてはなりません。出来る仕事以外にも挑戦が必要な仕事において機会を作れ、責任を持ってやらせてくれる会社を選ぶべきだと思います。
就職活動の大手・ベンチャーの差に関しては様々な人に聞くと2パターンの考えがあって,「キャリアとして使うなら大手のほうがいい」という方もいらっしゃいます.ただ,「ベンチャーのほうが本質的な部分をいろいろ勉強できるのかな」とも思うのですが・・・
まず大前提として、ベンチャーとは社長を含め皆で一緒に会社創りが出来ることが魅力であると伝えておきます。会社創りなんて面倒くさい・・・等々と思っているようでは、ベンチャーは勤まりません。会社創りとなると、所属している会社が成長する上において必要な働き方を常に考えて行動するということです。計画的にキャリアを作り、生活とのバランスをとって仕事をしたいのならば大手でしょう。
キャリア開発の観点から申し上げると、どちらを選んでも自分次第ですが、もしベンチャーを選ぶならば、プロとしてのビジネスを学習できる会社を選ぶ必要があります。求めている人材が「頭のいい体育会系」と言っている会社が良いのではないでしょうか.ビジネスは、行動力が無いと成果になりませんし、また頭が良くないと失敗したときも成功したときも学習のサイクルに乗せることが出来ませんので。
企業は女性を雇用することを、どのように感じているでしょうか?
現在、女性を活用していこうとしている会社も、全く考えていないという会社も半々ですね。男性を活用しがちなのは、女性は、就業年数が短い・家庭環境を省みなければならないという理由からのようです。私自身の考えですが、女性を活用できない企業は今後ダメになると思います。 世の中の市場の半分は女性です。女性の感性を生かした商品作りをしていかないと勝ち残っていけないと思いますよ。
また現在、女性の総合職入社は当たり前になりました。 結婚するまでは、ほぼ男性と同じ働き方をして.成果を出している優秀な女性も増えてきています。企業は、少子高齢化の時代に入り優秀な人材を採用するのがだんだん困難になってきており、優秀な女性を長期雇用する方法を、必然的に考えざるえないと思います。出産後の9割の女性が社会復帰していないという現実からも企業が人材を維持できていないことがわかりますし、新卒入社3年目で3割の人が辞めているのも、人材維持ができていないということですね。これは男性、女性を含め採用時と入社後のマネジメントギャップが大きいことが原因ではないかと思います。これからの企業にとって一番考えなくてはならないのは、「どうしたら優秀な人材が長く働き続けてくれるだろう?」と考えることと 「より魅力的な職場にするためには?」を考える必要があります。
ギャップを見抜くにはどうすればいいのでしょうか?
その会社の社員に会うのが一番。会社の魅力が語れない社員がいる会社は退職率が高いはずです。また魅力的な人がいなければ魅力的な人間にもなれないと思います。自分自身がどうなりたいか考えてみてください.一番モデルになりやすいのはその会社の社員でしょう。
今後,女性が社会に進出することによって、男性の立場はどう変わっていくと 思われますか?
私個人としては、男性が家事を行い、女性が仕事に出るといった「主夫」が多くなることはあり得ないと思います.なぜならば,そういう形を取っている国はほとんどないからです。これはDNAの問題でしょう。子供を1、2時間見ていたら「限界だ」と嘆く男性社員を多く見ています。基本的に男性は育児に向かない。またそれ以外にも問題があります。子供が手を離れたときに主夫をしていた男性は何を生きがいにして生きれば良いのでしょうか?育児後、男性向けにパート的な仕事はありますかね?逆に女性が旦那さんと子供を養うだけの稼ぎをもらえるのでしょうか?一家を支える収入を稼ぎ出すことは 相当の覚悟が無ければ出来ません。やはり男性の働き方は変わらないと思いますが 女性に依存した頼りない男ではなく、経済的、精神的な自立を実現することの出来る、大人の男性が増えていくことを望みます。良い意味で頼れない男性が多くなってきているからいろいろと問題になっているのかもしれませんねぇ。
現在の就職活動について思うことはありますか?
大学の就職率が約50%で、残り50%はフリーターかNEET(無職無学)だと聞きました。就職者以外の50%は非常に気になりますね。 彼らはどんな仕事をしていいのかわからない為にフリーターをしながらやりたいことを探すケースが多いそうです。しかしながら私自身の見解からすると、フリーターで働ける仕事は、定型的でかつ簡単な場合が非常に多い。続けていたからといってこれではやりたいことが見つかるわけがない。仕事というのは、困難なことに挑戦し自己実現や自己成長を感じることや、能力に応じた裁量と責任を得ることで、よりダイナミックな仕事が出来、エキサイティング性を感じること等、フリーター領域では全く経験できない仕事が一番の魅力なのです。
そこで,何が一番必要なのかというと、キャリアを狭く考えずに色々なことにトライできる環境を一番初めに選ぶべきだと思います.何が自分に向いているかなんて最初はわからないものです。色々なことを試していると情熱を傾けられるものが何なのか初めて分かります。大事なことは、「熱中できることは何なのか=天職」を見つけることです。 この熱中できることというのは、新卒の就職活動においても深く考えれば分かること。人材ビジネス希望の学生は、「人が好きなので人材事業を希望しています」と言う人が多い。しかしながら深く問いただしてみると、人と会って学習することが好きなケースもあれば、ただ単に女の子が好きなケース(笑)などがあります。例えばRPGゲームに熱中する人でも、熱中する理由が異なる。一緒に戦う仲間を強くすることだったり、敵を倒して武器を集めることだったり、新しい町に行って武器を買うことだったり、人それぞれ熱中する根源が違うのです。人間の熱中の根源は異なるのに、業界や規模等の表面的なことしか見なくて職場選びをしてしまうことが多い。だから入社してみて違った・・・等々となってしまう。
大事なのは、自分の熱中している根源を深く追求した上で、「自分は何に熱中するのか?」「熱中できる職場はどんな会社なのか?」と考え自分自身を知ることです。自分自身が分からなければ、セミナーに参加したり、面接を受けたり、会社概要を見ても 情報が多くなるだけで、何を基準に選べばよいのかわからなくなってきます。 自分自身のことが分かっていないと、情報を整理し、判断し、決断することが出来ないのです。今までの人生で一番熱中したことは?から実践してみましょう。
最後に、あまりガチガチに将来を決めないことが大事です。決めすぎると計画に縛られて 身動きできなくなってしまい、視野が狭くなってしまう。仕事をすると大学生活等では得られなかった能力を鍛えることができるので、更に自分が何に向いているのかも明確にわかってきます。その上で、3年後5年後のキャリアを改めて考え、行動すればよいのではないでしょうか、それは男性・女性問わず一緒であると思います。